ハッカチョウ

日本:野鳥

ハッカチョウは、スズメ目ムクドリ科に分類される鳥類です。全身が黒く、翼に白い斑点があり、額には冠羽があるのが特徴です。ムクドリとよく似ていますが、ハッカチョウの方がやや大きく、くちばしが黄色いことで見分けることができます。

ハッカチョウ

基本情報

  • 学名: Acridotheres cristatellus
  • 分類: スズメ目ムクドリ科ハッカチョウ属
  • 全長: 25~27cm
  • 体重: 80~140g
  • 形態: 全身が黒色で、翼に大きな白斑があります。額の羽毛が直立して冠羽になり、くちばしは橙黄色、脚は黄色です。
  • 鳴き声: 「キュルキュル」「ギューイ」「ピヨピヨ」など、様々な鳴き声を出します。

生態

  • 生息環境: 市街地、農耕地、河川敷、草原など、開けた環境を好みます。人家周辺や公園などでもよく見られます。
  • 食性: 雑食性で、昆虫、ミミズ、果実、種子などを食べます。
  • 行動: 地上を歩き回って餌を探します。飛ぶときは直線的に飛びます。
  • 社会性: 群れで生活することが多く、数百羽からなる大きな群れを作ることもあります。夜には集団でねぐらをとります。
  • 繁殖: 繁殖期は4~8月で、年に2回繁殖することがあります。樹洞や建物の隙間などに巣を作り、1回に4~7個の卵を産みます。

分布

  • 原産地: 中国中南部、台湾、ミャンマー、ベトナム、ラオス
  • 日本での分布: かつては飼い鳥として輸入されていましたが、逃げ出した個体が野生化し、現在では関東地方以西の本州、四国、九州の一部に分布しています。

ハッカチョウは雑食性で、様々なものを食べます。

  • 動物: 昆虫類、クモ類、ミミズ、カタツムリなど
  • 植物: 果実、種子、花蜜など
  • その他: 人間の食べ残しやゴミなども食べます。

子育て

  • 巣: 樹洞、建物の隙間、橋の下など、様々な場所に巣を作ります。巣材は枯れ草、小枝、羽毛などです。
  • 卵: 1回に4~7個の青緑色の卵を産みます。
  • 抱卵: 雌雄で抱卵し、抱卵期間は約14日です。
  • 育雛: 雌雄でヒナに餌を与え、ヒナは約21日で巣立ちます。

外来種としての問題点

ハッカチョウは、外来生物法で特定外来生物に指定されており、生態系、人の生命・身体、農林水産業への被害が懸念されています。

  • 生態系への影響: 在来の鳥類と餌や営巣場所を巡って競合する可能性があります。また、果樹や農作物を食害することがあります。
  • 騒音: 大きな鳴き声で鳴くため、騒音被害が問題となることがあります。
  • 建物への被害: 建物の隙間などに巣を作るため、糞による汚染や建物の劣化を引き起こすことがあります。

対策

ハッカチョウの分布拡大を防ぐためには、以下の様な対策が重要です。

  • 飼育・販売の禁止: ペットとして飼育したり、販売したりすることは禁止されています。
  • 放鳥の禁止: 飼っているハッカチョウを野外に放すことは禁止されています。
  • 防除: 地域によっては、捕獲や巣の撤去などの防除が行われています。

ハッカチョウは、知能が高く、人によく懐く鳥ですが、外来種として日本の生態系に影響を与える可能性があります。その影響を最小限に抑えるために、私たち一人ひとりが正しい知識を持ち、適切な行動をとることが大切です。

その他

  • ハッカチョウは、「キュルキュル」と鳴くことから、「九官鳥」と呼ばれることもあります。
  • 江戸時代には、ハッカチョウは飼い鳥として人気があり、伊藤若冲などの絵画にも描かれています。
  • ハッカチョウは、IUCN(国際自然保護連合)のレッドリストで軽度懸念(LC)に指定されています。

まとめ

ハッカチョウは、外来種として日本に定着した鳥類です。生態系への影響などが懸念されていますが、一方で、その美しい姿や鳴き声を楽しむ人もいます。ハッカチョウとどのように共存していくのか、私たち humans は真剣に考える必要があるでしょう。